肥満、高血糖、高血圧、高脂血症について
肥満
肥満細胞がインスリン抵抗性を高くする
「肥満」を尺度はいろいろあります。メタボリックシンドロームでは、内臓脂肪の量として、計測できる目安として腹囲(おへそまわりのサイズ)でみます。ここでは、肥満を【脂肪細胞に正常以上に脂肪が蓄積した状態】として、体脂肪率でみたいと思います。
成人では、水分約60%、脂肪分約20%、残り約20%は内臓組織・筋肉・骨などからなっています。女性は水分がやや少なく、脂肪分が多くなります。体全体に占める脂肪の割合を体脂肪率といい、男性で20%、女性で 25%を超えると『肥満』と判断されます。
脂肪細胞は単なる脂肪の貯蔵庫ではなく、アディポサイトカインという様々な生理活性物質を分泌し、糖や脂質の代謝に影響を与えていることも分かってきました。遊離脂肪酸やTNF-αという物質がインスリン抵抗性を高めていることも分かってきています。脂肪細胞はこの他にもインスリン量の増加に対してインス リン受容体の数を減らしてブドウ糖を受け入れる量も調整しています。太るということは脂肪細胞が膨らむということですが、インスリンの言うことを聞いてブ ドウ糖を全部受け入れていたら膨らみ放題になってしまいます。破裂することを恐れた脂肪細胞の防衛本能のようにも思えます。
インスリン抵抗性が高くなると血糖値を保とうとして膵臓が無理をしてインスリンをたくさん分泌します。しかしやがて膵臓も疲れてしまい、インスリンの分泌 量が低下し、その結果、血糖値が上がることになります。日本の糖尿病患者のほとんどはインスリン非依存型という中年以降に発症するタイプの糖尿病ですが、発症するまでにこのような段階を経るケースが多いのです。
高血糖とは
血糖値
糖質・タンパク質・脂質を3大栄養素といいますが、そのうち糖質は、ブドウ糖という細かい単位まで分解され、血液の中を通ってからだの各部に運ばれエネルギーとして消費されたり、貯蔵されたりしています。この運ばれている時の血液中に含まれるブドウ糖の量を血糖値といい、血液1デシリットル中に含まれるブドウ糖の量をmg単位で表した数字になります。
一日の血糖値の動きと正常範囲
血糖値は常に変動しています。健康な人の血糖値は空腹時で70から110くらいの範囲に保たれています。食事をすると上昇し、2時間程度でだいたいもとの血糖値に戻ります。糖尿病の人の場合は空腹時も高く、食後の血糖値がどんどん上がってしまい、下がり方も遅くなります。「ブドウ糖負荷試験」という糖尿病の検査がありますが、12時間以上何も食べない状態で空腹時血糖値を測定し、一回の食事に見立てた75gのブドウ糖を飲み、1時間後、2時間後の血糖値を測定し、どの様に推移しているかを調べます。
空腹時110未満、1時間後160未満、2時間後120未満であれば正常と診断されます。ところが空腹時140以上、2時間後200以上あると糖尿病と診断されます。これらの中間であれば境界型といって糖尿病予備軍として注意が必要になります。
ヘモグロビンA1c
糖尿病の診断には血糖値の他、HbA1c(ヘモグロビンA1c)という指標があります。ブドウ糖は糖化といって、タンパク質とよく化合します。血液中でも赤血球のヘモグロビンという酸素を運搬しているタンパク質に化合してしまいます。赤血球の寿命は120日あるので、体の中には120日前に作られた赤血球から昨日作られた赤血球まで混じっています。したがってブドウ糖と化合してしまったヘモグロビンがどのくらいの割合であるのかを計るとだいたい過去1~2ヶ月の平均血糖値がわかります。4.3%~5.8%が正常範囲とされています。(メタボリックシンドロームの判定では5.5%までが正常)
血糖値と尿糖の関係
糖尿病は読んで字のごとく、尿に糖が出る病気です。腎臓で血液を濾して尿を作っていますが、血糖値が高いと腎臓でブドウ糖も濾しきれずに尿中に漏れ出てしまいます。
尿糖が出ているかどうかの検査は非常に簡単で、試験紙に尿をかけて色の変化を見るだけでわかります。しかし、尿糖だけで糖尿病かどうかは判断できません。血糖値を計ると糖尿病であるにも関わらず尿糖が出ないケースがあります。一般的に血糖値が160から170くらいを超えると尿糖が出てくると言われています。たとえば、空腹時の血糖値が150(140以上で糖尿病)あっても尿糖は出ませんし、腎臓の濾しが甘い人であれば血糖値が正常であるのに尿糖が出るケースがあります。
(これは腎性糖尿と呼ばれ、血糖値が正常であれば糖尿病の心配をすることはありません)
しかし、自宅や職場でも簡単に行える検査なので、糖尿病患者が血糖のコントロール状態をチェックするには便利な検査といえます。
高血圧とは
高血糖が高血圧を招く
インスリン抵抗性が 高まり、血糖値を抑えるために膵臓がインスリンを多く分泌することがありますが、過剰なインスリンは腎臓でナトリウムを再吸収させ、その結果、体内水分量 が増加し血圧が上がります。また、過剰なインスリンは交感神経を興奮させたり、血管の平滑筋細胞に作用して血圧を上昇させると考えられています。
高血糖状態においては細胞内の水分が浸透圧によって細胞外へ出て行きます。それにより循環血液量が増え、血圧が上がります。
また、高血糖状態では末梢血管の抵抗性を高めて血圧を上昇させるアンジオテンシン2型酵素やノルアドレナリンといった昇圧ホルモンの感受性を高めて、血圧が上がりやすくなると言われています。
高脂血症とは
高血糖が高脂血症を招く
インスリン抵抗性が高まり、血糖値を抑えるために膵臓がインスリンを多く分泌することがありますが、過剰なインスリンは肝臓でHDLコレステロール(体の各部で余ったコレステロールを回収してくる、いわゆる善玉コレステロール)を分解して、中性脂肪をたくさん含んだVLDLコレステロールを増やします。VLDLコレステロールはリポ蛋白リパーゼという酵素の働きによって、中性脂肪とLDLコレステロール(活性酸素の攻撃によって酸化されると、動脈硬化の原因になる、いわゆる悪玉コレステロールの素)に分解されます。しかもインスリンはこのリポ蛋白リパーゼという酵素を活性化するので、結果として善玉コレステロールが減り、悪玉コレステロールの素が増えてしまいます。
つまりこの段階で動脈硬化を起こすお膳立てができてしまうわけです。
さらに糖尿病が進んで、インスリンの分泌が少なくなってくると今度はリポ蛋白リパーゼの活性が落ちてくるのでVLDLコレステロールは分解されにくくなり、VLDL自体が増えていきます。VLDLコレステロールは中性脂肪をたくさん含んでいるので結果として高中性脂肪血症を招き、中性脂肪と逆相関の関係にある善玉コレステロールが減少していきます。
本当は悪者ではないコレステロール
コレステロールはよく悪者扱いされますが、実は体にとって必要不可欠なものなのです。細胞膜を作ったり、ホルモンを作ったり、胆汁酸という消化液の材料になっています。活性酸素に攻撃されて過酸化コレステロールになった時点で動脈硬化を引き起こす悪者に変貌するのです。ですから、せめて「悪玉コレステロールの素」と呼びたいですね。
さらに詳しくは、下記「メタボリックシンドロームの黒幕は「インスリン抵抗性」」をご覧下さい
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- at 2007年04月22日